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▼KZさん:
>今回のリコールは本当に必要なものなのでしょうか?
私の考えでは、「全車の寿命は確実に縮んでいる」です。
トヨタの発表を見ると、高負荷時に素子に過剰なエネルギーが加わり、
熱損傷が起こると書いてます。熱損傷にはいろんな形がありますが、
ニュースを見ると、11年頃から不具合が発生し始めたと書いています。
ということは、過負荷時に一気に損傷するのではなく、長年の過負荷が
たたって素子が早く寿命を迎えたものと思われます。
私はトヨタ車の電子部品を設計していましたので分かるのですが、
製品の耐用年数をクリアするためには、「加速度試験」というものを
行います。例えば、耐用年数15年を保証するために、実際に15年間
動かし続けて調べることは難しいですよね。この試験は製品に過負荷を
印加することで加速度的に劣化させ短時間で耐用年数を推し量る試験です。
自動車の場合は、125度の気温、16V印加など、通常の使用条件よりも厳しい
条件で製品を作動させ続けることで、短時間で耐用年数を推し量ります。
製品や加速度係数にもよりますが、15年の寿命を1000時間から数ヶ月で
推し量ります。
今回の不具合はまさに「加速度試験」を行っているようなもので、通常1の
エネルギーが加わるように設計されていた素子に、1以上のエネルギーが
加わることで短時間で寿命を迎えたと考えることができます。仮に通常1の
エネルギーが加わると想定されていた素子に、2の過負荷が加わったと
仮定すると、寿命は加速度的に縮み、例えば4分の1になったと考えることも
できます。寿命の縮み方は素子の性能的余裕度や使用方法にもよるので、
どれだけ縮んだかは人それぞれです。根本原因によっては全く縮んでいない
車もあるかも知れませんが、もし制御設計のミスならば、多かれ少なかれ
全車に過負荷が加わる瞬間があったのでは?と考えます。その証拠に、
制御ソフト修正後に素子が損傷した場合は無償交換するとアナウンスされて
います。つまり、修正してからも損傷は起こることがあるということです。
それは、既に寿命が縮んでいることに他なりません。今、何の不具合も
感じていなくても、突然壊れることがあるということです。
少々脅しのような文章になってしまいましたが、私自身は不具合が起きても
無償交換してもらえるとのことなので、そんなに怖いとは思っていません。
もちろん不具合は起きて欲しくありませんが。私も早めにリコールを
受けたいと思います。
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