Page 869 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼米国でのトヨタ車の暴走について (3):信頼性 惰ポンテ 10/3/12(金) 6:02 ┣Re(1):米国でのトヨタ車の暴走について (3):信頼性 toys 10/3/12(金) 14:08 ┗Re(1):米国でのトヨタ車の暴走について (3):信頼性 惰ポンテ 10/3/14(日) 6:42 ┗Re(2):米国でのトヨタ車の暴走について (3):信頼性 薩摩プリ乗り 10/3/14(日) 23:50 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 米国でのトヨタ車の暴走について (3):信頼性 ■名前 : 惰ポンテ ■日付 : 10/3/12(金) 6:02 -------------------------------------------------------------------------
信頼性に関する、技術者の取り組みの基本的考え方2 について、述べたいと思います。 前回、信頼性保証する考え方の1つとして、FIT数について 述べました。 1FITの製品があった時、故障する期待値は11万年に 1回と殆ど無いと言っていいような物ですが、 台数が50万台と増えた時には、1年間に4台ぐらいの故障が 起こりえることを前回が述べました。 (これぐれも、これはトヨタの自動車の故障に対する期待値を 述べているのでは無いことに注意してください。 それを議論 するための下準備です。) 今回の投稿の目的は、以下に信頼性を確保することが難しく、 技術者がどんな苦労をしているか理解して頂くことにあります。 では、1FITを保証することがいかに大変かと言うことを、 述べてみたいと思います。 1FITを目標に、製品を開発した時、それを保証するためには、 11万年待って故障が無ければ まあ、故障率は1FIT以下といえるの では、無いでしょうか? (厳密な統計数学の裏付けでもそう言っていいのですが、割愛します) でも、11万年待つことは、現実的では無いですね。 試験する数を10倍に増やして10個にしても、1万年かかるわけです。 11万個作って、1年試験して、1個も壊れなければ 故障率 1FIT といえるのですが、 開発品は、結構コストが高く量産時の10倍ぐらいお金がかかります。 従って、11万個作るのも現実味が無いでしょう。 そこで、どうするか? 私にとってなじみの深い光通信部品(パッシブ部品)の試験方法を例として 述べてさせて下さい。 (この投稿の目的は、品質保証が如何に大変かを示すことですので 自動車部品でも考え方は差は無いと思われます) 光通信部品の場合、Telecordia 1221 と言う試験方法が、 最も合理的で現実的です。 この試験方法は、昔のベル研究所ノーベル賞受賞者が続出した ベル研究所にに端を発するベルコアと言う研究機関で提案されたものです。 その中の一つ、耐環境信頼性試験について記述します。 (振動、衝撃とかその他の試験項目もありますが、割愛します) その方法は、22個(場合によっては11個)の製品を用いて温度と湿度を 高くした、環境に2500時間置いて劣化を加速した試験を行います。 大体、半導体部品とか、光部品は温度と湿度に弱く、高温と高湿 の環境では劣化が早く進むため、ここで一定時間大丈夫なら、 普通の環境ではもっと長持ちするので、信頼性が確保できると考える訳です。 温度と湿度の高い状態で劣化を調べることを加速試験と強います。 電子デバイス等に関してはどの位温度と湿度を上げて試験すると、どれだけ 故障しやすくなるかという 加速係数が調べられており アイリングモデルと呼ばれる関係式が使われます。 (温度のみの影響に関してアレニュースモデルと言います) 日本の場合年間の平均気温は、16.45℃、湿度は60%に対して 温度85℃ 湿度 60%では加速係数は、〜2000倍になります。 22個の製品を2500時間試験すると 平均気温、平均湿度に対して 22*2500*2000 =110,000,000 (device*hour) 1.1*10^8 (device*hour) の試験ができたことになり、 この試験で、1つも故障しなければ 何とか 10FIT の信頼性が保証できます。 この結果が得られるのに、2500時間ですから、104日、3ヶ月以上の 試験期間が必要となります。 自称OB技術者の方が、いとも簡単に故障率を0にしろと仰っていることが 如何に、技術者の感覚とそぐわないか、ご理解いただけましたら幸いです。 |
技術的な事は私は詳しくないのですが、 親が新車で買ったアルファに乗ってますが、信頼性なんて壊れたら直しますのでおつきあいお願いしますってぐらいなもんです(笑)400万以上する新車ですよ(笑) 私自身もアルファを所有した事がありますが、国産に比べたら信頼性なんて言葉はなかったですよ。 納車の時には営業さんから「今後色々有ると思うので保証が有るうちに直して下さいね」と言われました。国産車しか乗られてこなかった方には想像もできないと思います。 趣味人が乗る車と比べるなと突っ込まれそうですが、国産メーカ技術者の方の努力は素晴らしいと思います。信頼性、故障しない事は当たりまえだと思っている方もいらっしゃると思いますが、ものすごい努力と時間がかかっている事も考えなければならないと思いますよ。 |
信頼性に関する、技術者の取り組みの基本的考え方3 前回、信頼性に関して3ヶ月かけた信頼性試験で 得られる、FIT数は10程度と述べました。 自動車の生産台数が1台であるならば、10FITの 故障率は1万年に1台程度問題が無いのですが、 1万台あれば、1年間に 1万台の内1台ぐらいは故障 するかも知れないと言う確率に成ります。 なんとも、心許ない数字ですが では、信頼性をどう確保するか? これは、市場に出した自動車の (台数*使われた時間)と 故障台数 から推定します。 データが無くて、恐縮ですが 仮に、トヨタでハイブリッド自動車(初代プリウスから) 100万台位作られ、平均5年間 (正確には、10年使われたのが何台、9年使われたのが何台、、、と 計算して足していきます) 使われ、故障が1台も無かったとすると Device*hour は 1,000,000(台) * 8760(時間/年)* 5 (年) = 4.4 * 10^10 (device*hour) になります。 FIT = 10^9/(4.4 *10^10) = 0.02 の値が確保できるわけです。 つまり、信頼性に関して最も重要なことは市場で使われた 実績と言うことです。 プリウスマニアの人とは共感でいると思いますが、 プリウスに乗ってしまうと、実感できると思いますが ハイブリッド車に乗ってしまうと、もうなかなか ただのガソリン車には戻れない気がします。 ハイブリッドは、これからの車の主流になると思いますが、 この市場での実績をベースとした 信頼性を後追いで確保 することは、至難の業かと思います。 つまり、すでに斜陽にある米国の自動車産業はハイブリッドの 普及により壊滅すると言うのが、私の予想です。 これを、何とかくい止めようとするのが、最近の米国での騒ぎ と分析しています。 長々と信頼性について、述べさせて頂きましたが 信頼性を保証できるのは市場実績であり、これが事業戦略 に直結します。 事業戦略の基本のを知らない 「技術者OB」と名乗る 変な事業統括者の基で働いていた、従業員の方さぞかし 苦労されたかと思います。 |
▼惰ポンテさん: 私は哲学的な回答かと思っておりましたが、なるほど技術者らしい回答ですね。 技術者の品質に関する取り組みがいかに大変な事が少し理解出来ました。 忙しい中書き込んでくださりありがとうございます。 まあですが惰ポンテさんとプリじーばさんは世代も業種も違う訳ですから 技術者としての回答が違ったとしても仕方ないと思います。 どちらも真剣に製品について考えていると判断しました。 プリじーばさん ここまでややこしくなったのは電子基板を指しているような表現でトヨタの品質保証部門は極めてプアーと発言した事ですし、挑発に論破で答えようとした結果ですので致し方ないと思います。ですが私は多くの知識を得ることができましたので感謝しています。 個人的にはまた議論して欲しいと思います。感情論抜きでお願いします。 |