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長文、お許し下さい。
1.概要
高速の長い下り坂の走行方法に関し、以下の通り、下り坂の特殊走体性理論(案)をご提案します。
本理論の背景、および実走データとの比較等を、あわせて御紹介します。
80km/h前提の本スレッドの趣旨には合わないかとも思いますが、かなり有効な方法と確信しておりますので、ご提案させて戴きます。
本提案は、マクロ的な走行方法の提案ですが、nedaさんが実施されている走行実験は、この下り坂の燃費を更に向上させる方法と認識しており、両者に齟齬がある訳では無いと考えています。
【下り坂マクロ理論】
■下り勾配の場合、「半滑空」ではなく、可能ならエンジン停止の「滑空」とする。
(75km/h以下の走行。76〜78km/hの速度帯は、タコメータが無いと難しい)
■周囲の交通状況等により、低速走行ができずに「半滑空」とする場合も、
加速するような下り勾配(3%以上)では、最高速度を制限して、回生による充電を志向する。
【上記理論(案)の背景】
机上計算の結果、下り勾配が約3%以上の場合、位置エネルギーが「余る」ことが判かりました。
さらに机上計算上、エンジンの回転を止めることにより、大幅に燃費がアップすることが判りました。
2.位置エネルギーの「余り」と「余り」の使い方
前提を
・実時速:80km/h 、理想的な平坦路での燃費:30km/L
・位置エネルギー: 車両総重量1500kg(2名乗車)で
100m標高差をガソリン換算118cc
とすると、位置エネルギーの「余り」の比率は以下のように計算されます。
下り勾配 「余り」率
===================
6% 53%
5% 44%
4% 29%
3% 6%
6%の下り勾配では、折角ガソリン使って作った位置エネルギーが、下りで半分以上「余る」のですね。これ、勿体無いです。
【位置エネルギーの「余り」の使い方】
この位置エネルギーの「余り」は、回生ブレーキでバッテリーを充電するか、
加速して運動エネルギーを増加させるか、いずれかにエネルギー変換されます。
何れもエネルギー変換があるので、「ロス」が発生しますが、
加速して、空気抵抗を増して、それに運動エネルギーを使うより、
バッテリー充電に使って、後でモータ走行に役立てることが
トータル燃費が向上する、と想定します。
3.半滑空時のエンジン回転のロス
79km/h以上での半滑空時、エンジンが回転し、Dレンジではその回転フリクションロスを打ち消すために(?)燃料噴射が発生します。
この燃料噴射を、毎分約15cc程度と想定します。
さらに、上記2.と同じ前提で、エンジン回転の有無しでは、計算上の燃費は以下のようになります。
下り勾配 回転無 回転有 回転ロス割合
====================================
2.5 % 260.9km/L 72.5km/L 72%
2.0 % 102.7km/L 56.5km/L 45%
1.5 % 64.0km/L 46.3km/L 28%
1.0 % 46.4km/L 39.2km/L 16%
0.5 % 36.5km/L 34.0km/L 7%
即ち、下り勾配が強くなればなるほど、エンジン回転のロス割合が大きくなることになります。
従って、下り勾配が強くなればなるほど、エンジン回転無し(78km/h以下)の走行が燃費アップに繋がると考えられます。
4.実走行データとの比較
今週末に、上信越道を使い峠越えをしました。
今回は、上記理論を基にした走行(ただしエンジン回転停止は結構難しい)を実施。
昨年10月に測定した同区間の走行データ(半滑空で加速する方式)と共にご紹介します。
計算値 実走データ
下り --------------- --------------
勾配 回転無 回転有 昨年10月 今回
==============================================================
碓井峠 → 更埴JCT 1.0% 46.4km/L 39.2km/L 39.0km/L 48.4km/L
野尻湖SA→上越高田IC 1.9% 91.6km/L 54.1km/L 54.1km/L 65.5km/L
備考:
・昨年10月:
碓井峠→更埴JCT: 平均速度 78km/h、晴れ、
西風2m/s(若干向い風)、気温18〜14℃
野尻湖PA→上越高田IC: 平均速度 70km/h、晴れ、
西風2m/s(横風)、気温14〜17℃
タイヤ標準ノーマル
・今回:
碓井峠→更埴JCT 平均速度 79km/h 天候晴れ、
南風1m/s(若干追風)、気温13〜13℃
野尻湖PA→上越高田IC 平均速度 73km/h 天候晴れ、
南風1m/s(追風)、気温14〜21℃
タイヤスタッドレス(x-ice2)
【考察】
・今回の方が平均速度は大きいにも係わらず、明らかに、
上記理論(案)の方法を可能な限り使った今回の走行の燃費が良くなっています。
・上記の計算値には、「余った」位置エネルギーのバッテリーへの充電は
考慮していません。
碓井峠の最初の急降坂での回生部分が、エンジン回転無しの理論燃費より
実測燃費を向上させた原因と推測されます。
また同区間では、70km/h台での走行でモータのみ走行が可能であり、
BL=5まで落ちました。この影響もあるかもしれません。
・後続車に配慮すると、エンジン回転無し走行(78km/h以下走行)は、
かなり難しいことが判りました。(今回実施できたのは僅かな区間です)
また一旦79km/h以上になってエンジンが回転すると、それを
ストップさせることがかなり難しいことが判りました。
このため、エンジン停止走行には、タコメータが必須と想定されます。
・いずれの区間でも、今回はBL=7まで上昇しました(昨年10月はBL=6のまま)。
・以上より、今回の燃費の向上は、主に、
「余った」位置エネルギーのバッテリーへの充電の恩恵ではないか、
と考えています。
★たった一回の実測では、客観的な有効性は証明できませんが、
机上計算と実測データの傾向がほぼ合ったという結果より、
今回ご提案した「長い下り坂での特殊走体性理論」はかなり有効であると
私は確信しています。
以上、長文すみませんでした。
P.S. 「への字」「逆への字」の実測データや、「高速道の新雪上走行」の実測データも採取しておりますので、別途御紹介したいと思います。
前者は、今回の実測では、やはり位置エネルギーの「余り」の変換ロスが影響しているような結果になっています。
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